はじめに
「アートとは何か」
「よい作品とは何であって、何ではないのか」
「アートをコレクションするとは、個人として社会としてどのような意味があるのか」
これらの問いに答えるのは容易ではありませんが、専門家ではなくても一つの解を出し続けることには意味があると思います。
他の業界同様、アートにもさまざまなプレイヤーが存在します。
作家、ギャラリー、ミュージアム、オークション。そのなかでもコレクターはとても幅広い層が存在します。
作家の応援として購入する人もいれば、投機的に購入する人もいます。個人のために買う人もいれば、社会のために買う人もいます。作家であり、コレクターという人もいます。
大きな視点では、メトロポリタン美術館、ルーブル美術館、大英博物館などの巨大な美術館も一種のコレクターと呼ぶことができます。
これらの美術館は、アートを蒐集することで一つの文化として力を誇示していると言えるでしょう。
個のためか公のためか
ここに万人の納得できる正解はありません。しかし、このアートの両面こそが単なるコンテンツではないことを物語っていると思います。アートの寿命はあらゆるコンテンツのなかでもダントツに長いのです。
時代と場所によって、1つの作品が形を変えて世の中に影響を与えます。アートは価値が飛躍するといわれるのも、このように時空を越えることが一つの理由になっていると言っても過言ではありません。
インターネットとAI
AIの登場は、アート業界においてもその影響は計り知れません。
アート取引においては真贋の担保がこれまで以上に重要です。これまでの価値観を揺るがし、先行きが見えなくなっているのはアートも同様です。
GAFAMと呼ばれる私企業は国家を越えて情報を占有していますが、そのなかにおいても、私たちはインターネットを使いこなし、日常に欠かせない存在として、新たな行動様式と利益を享受しています。
憂うものが大きいのと比例して、新たなメリットも柔軟に享受できるのが人間社会でもあると思います。
いまウェブでできること
数年先を見通せない時代で、いまインターネットを使ってどんな価値を提供できるのでしょうか。ウェブの強みは、システムとネットワークにより情報を介して、人々をつなげて、新たな価値を交換するところにあります。
巨大な資本や組織に属さない小さな個人のアートコレクターが、自分のために、誰かのために、社会のためにできることはあるのでしょうか。
ウェブの歴史を振り返ると、
・友達を可視化した世界最大のソーシャルネットワークサービス「Facebook」
・趣味と広告収入を両立させた動画プラットフォーム「YouTube」
・オープンソースの協働開発を促進するソフトウェア開発プラットフォーム「Github」
いずれも公開とプライベートの機能をもち、個人と社会のつながりを構築しています。アートにおいても、コレクターと社会がつながるためのシステムの未来が見えそうです。
これまで、アートは情報公開においてコレクターがSNSに画像を掲載するには著作権に配慮する必要がありました。また、真贋を保証するための来歴・取引の記録も重要となっています。
すべての機能をはじめから構築できるわけではありませんが、まず第一弾として、SNSの機能を準備しました。
・自分のコレクションを登録できて、プロフィールに掲載できること
・どんな作家の作品を所有し、どんなギャラリーで購入したのか
・ユーザーをフォローできて、検索できること
今後は、招待制の共有コレクションルームを構築し、誰もが自分のコレクションをミュージアムのように公開できるようにする予定です。また、取引においても真贋を保証するシステムを導入されるような未来に追随していきます。
アートコレクターにとっての明るい未来を始めていきます